QUAD 44 プリアンプ修理

QUAD 44 プリアンプを使用し出してから、かれこれ20年以上になろうとしています。20年も使用してくれば、少なからずトラブルが出てくるもので、44 プリアンプも例外ではありませんでした。
大きなトラブルとしては、入力のセレクタが使用できなくなる、あるいは勝手に違うソースに切り替わってしまうというトラブルが出てくるようになりました。44 プリアンプの入力セレクタはフリップフロップとアナログSW(IC)を組み合わせた回路になっているため、フリップフロップを疑いましたが、そうでもなさそうなので、本格的に回路を追いかけ、その他の劣化している部品の交換、入力段に使用しているOPアンプを質の良いものへ交換することにしました。

QUAD 44 プリアンプ(上)と、405-2 パワーアンプ(下)です。とてもシンプルデザインが気に入っています。
特にパワーアンプには余計な物はなにもついていないというシンプルさで、電源SWすら付いていません(後のマイナーチェンジで電源SWは付いたそうですが…)。
44 プリアンプの入力セレクタの部分です。タクトSW形式のSWが押されるとフリップフロップが維持して、そのアナログSWがセレクトされるようになっていますが、このLEDが突然、違うソースに移動したり、点灯しなくなるというトラブルが出始めました。
赤丸で囲ってある部分は基盤の表と裏のパターンを繋ぐジャンパーなのですが、これがその側にあるアナログSW(IC)とタクトSWが取り付けてある基盤に付いているフリップフロップの電源供給ラインのようで、ここを叩くと、現象が出たり、直ったりしていたため、半田付け不良と判断、ジャンパー線も金メッキ単線に変え、半田付け直しを行ないましたら、症状がスパッと直りました。
セレクタのスイッチも劣化している可能性があったためと、内部抵抗、雑音の少ない同等品と変更することにしました。
セレクタ基盤に乗っているコンデンサは電源の平滑回路のコンデンサもあり、容量抜けの可能性があったため交換することにしました。
交換に使用するコンデンサを3種類用意しました。
実際に交換をしてみると容量抜けなどはなく、交換しなくても大丈夫でしたが、電解コンデンサはいつ容量抜けするか判らないので予防交換をしました。
CD入力モジュールです。とてもシンプルな回路に驚きました。付いているOPアンプも「TL072」というとてもオーソドックスな可もなく不可もないOPアンプです。入力のピン端子はなんとも普通のメッキのものです。
このOPアンプをバーブラウンのOPA2134に変更することにしました。また、入力のピン端子も金メッキのピンジャックに変更しました。
プリアンプの出力端子もごく普通のメッキの端子でした。ここもCDモジュールの金メッキと同じピン端子に交換をしました。
これらの修理とパーツの交換を行なったことで、従来よりも艶やかな弦楽器、音が豊かになりました。
このアンプが作られた当時は、ベストなパーツを使用していた物と思われますが、20年を過ぎ、交換したパーツによって44は生き返りました。