QUADとの出会い

 私が、QUADのオーディオに出会ったのは1983年頃だったと思います。それまで私が使用していたオーディオシステムは、国内メーカの山水のプリメインアンプ(AU-9500)、ダイヤトーン(DS-35B)でした。職場でクラシック好きの友人と出会い、友人宅で聴いた音楽の音に惚れこんだのです。

 当時、友人が使用していたのがQUAD 34、303パワーアンプに、トーレンスのアナログプレーヤ、CelestionのSL-6スピーカでした。音の違いというより、雰囲気の違いに圧倒されました。

 その後、私は何かに憑かれたかのように秋葉原に行き、QUADを置いてあるショップを探しました。第一家電(現在はありませんが)の試聴ルームにあったQUAD44、405-2で持っていったCD(カルロス・クライバー、ブラームス交響曲第4番)を試聴し、QUADを買う前提になり、スピーカ選びに入りました。その時に選んだスピーカは友人と同じCelestionのSL-6でした。他にも選べるスピーカはあったのだと思いますが、私の予算ではベストでした。

 購入後、ショップから送られて来たQUADの箱を見てびっくりしました。それはもう日本のメーカの梱包とはまるで違い、質素に梱包されていました。アンプにも指紋は付き放題、説明書もペラペラな物が数ページ入っていたのみでした。付属の電源ケーブルはとても細い物、う〜〜ん、これでもプリアンプだから大丈夫かと納得し、次に405-2を開梱してみると、405-2の電源ケーブルも同じような細いケーブルでした。さらに、私が購入した405-2には電源SWが無い仕様だったようで、あまりにものシンプルさに驚きました。

 さて、スピーカをどう置くか迷ったのですが、始めのウチはブロックを少し高めに積み上げて置きましたが、見た状態にも美しくなく、不安定であったためにオプションで販売されているスタンドを購入することにしました。そのスタンドはアンプを購入したショップには在庫がなく、別のショップを探し、やっとの思いでダイナミックオーディオに行き着きました。

 スタンドを購入して、説明書を見てまたびっくり。「四角のパイプに砂をつめてください」と書かれていいました。なんの効果があるのか判らないまま、砂を購入するあてがなかったため、砂無しで組み立ててスピーカを置きました。説明書に書かれていた砂の効果は音を出してみて判りました。スタンドの四角のパイプが「鳴く」のです。そこで、セメントなどの建材を扱っている販売店に問合せをして、砂を一袋購入し、四角のパイプ一杯に詰めて「鳴き」はおさまり、輸入品はなんとも大変なのだなと思いました。

 さて、QUADで聴き始めてみて、友人宅で聴いたあの雰囲気が出たのかといいますと、それはもうまるっきり駄目。なにが悪くて出ないのか始めは判りませんでしたが、次第にセッティングがまるでできていないということが判ったのです。それからはSL-6のセッティングを行なう毎日。購入して半年くらいかかったでしょうか、ようやく自分の思うような音が出てくるようになりました。

 QUADアンプではまだまだ驚くことがありました。CD、フォノはピンなのですが、それ以外のRADIO、TapeはDINコネクタなのです。また、405-2の入力もDINコネクタで、プリアンプと接続するケーブルは付属のを使用しましたが、製作するには特殊なDINプラグを探さなくてはなりません。またまた、秋葉原に行き、5ピンのDINプラグ、4ピンのDINプラグを購入し、接続ケーブルなども作りました。後で判ったことなのですが、私が44と405-2を購入した後に、少しだけマイナーチェンジがあり、405-2の電源スイッチ、入力もピンが付いたそうです。なんてこった、まったくまったくといった感じでした。

 SL-6のセッティングを行なっているときに、友人にふと言われた「電源の極性も揃えないと」ということを思いだし、極性揃えをおこない、ますます、思う音が出るようになりました。ケーブルを色々なタイプに交換することで出てくる音が変りましたが、最終的に、スピーカケーブルはトーレンスのOFCはしごケーブル、CD->プリは日立電線のLC-OFCケーブル、プリ->パワーはトーレンスの銀のケーブルに落ち着きました。

 ケーブルを取り替えることはオーディオの楽しみの一つなのだと思いますが、今の私は、多くの音楽ソースを聴くことに重点をおいています。といいますのも、QUADのアンプの配線に使用されている線材、CR、トランジスタ、ICなどのパーツはごくごく普通のパーツなのです。ケーブルを変えることで音の出方が変わることは確かに変るのですが、アンプの中身とはとても釣り合いが取れなくなってしまう感じさえします。なので、現在はケーブルにはあまりこだわっておりません。

 SL-6でも驚きがありました。このSL-6は、スピーカ付属のサランネットを外さないと、しょんぼりとした音になってしまうというのも驚きのひとつでした。BGM程度にというのであれば外さなくてもさして気にはなりませんが、聴くときには外さないと音がしょんぼりとしか出てこないのです。オーディオに詳しい方に言わせれば「そんなのは当たり前だよ」と言われてしまうようなことなのかも知れませんね。

 さて、現在では結婚し、引越しをしたため、音楽を聴く環境も激変してしまいました。オーディオ装置を置く場所が限られて居り、リビングに置くことになりましたが、斜めに(斜めにしかおくスペースが無い)セッティングをしているため、スピーカの左右の幅もあまり取ることができないのです。そんな劣悪な環境ですが、1年かかって現状でのベストなセッティングになったとは思います。

 そんなQUADのシステムに最近、真空管のアンプが加わりました。サンバレー「ザ・キット屋」さんのSV-4(Type QUADII)です。いきなり、このキットを購入しようと思ったのではないのです。はじめは2A3のシングルアンプのキットが出るとのことで、そのアンプを作ってみたいと思いましたが、SL-6ではちょっと無理があることがわかりました。SL-6の能率が82dB程度しかなく低能率のスピーカのため、2A3の出力では充分にドライブすることができないであろうということになり、KT88のシングルアンプ、あるいはKT66PPアンプ程度の出力がということになり、SV-4(Type QUADII)をということになりました。

 まだ完成してからそう日が経っていないため、エージングも充分ではありませんが、SV-4からはなんとも嬉しい音が出て来るじゃありませんか。弦楽器の艶やかな音、ソプラノ歌手の声、もうほれぼれしてしまうのです。時間が過ぎるのがとても早く感じられ、毎日の楽しみが増えてこんなに嬉しいことはありません。

 SV-4の製作記をいま作成している最中ですので、できましたら掲載をいたします。また、QUAD 44、405-2も少々修理が必要になった時期がありました。その修理の様子なども掲載を予定しています。

 SVー4の製作記ができましたので、お時間のある方は見ていただければと思います。また、エレキットのTU-879を入手し、このキットも作成しましたので、製作記を掲載しました。また、エレキットのTU-872ではありますが、念願の2A3シングルアンプも入手し製作しました。その後は、春日無線変圧器さんのnewPCL86シングルアンプ、19AQ5単管ヘッドフォンアンプ、PCL86全段差動PPアンプなどを製作し、現在ではQUADのアンプはプリアンプしか活躍をしていない状況に陥りました。それでも、時々405-2でも聴きますよ。


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